はじめに
近代化により共同体が崩壊し、街は森のような微熱感を 失った。安全・便利・快適な生活が、人ではなくシステムに よってもたらされた結果、人と人が共にいる時間が激減し、 場所と一体になる空間も無くなった。人々は地球に対しても 人に対しても、繋がりを失ったのである。 人類進化の歴史を参照すると、このことは何よりも大切な 指摘に思える。私たちは大規模定住社会を営む以前、狩猟採 集社会を生きていた。そこでは森の言葉を聞いた。言葉の外 で繋がっていた。法(言葉)ではなく「掟」に従っていた。 仲間のために死に、仲間のために殺していた。今よりも余 程、地球想い、仲間想いだったのである。